子供を傷つける親の言葉ランキング
―気づかないうちに、心に残ってしまうひと言―

はじめに
―悪気はない。でも言ってしまった。
忙しい朝や疲れて帰ってきた夜、「なんでできないの」「もう知らない」…言うつもりじゃないのに、つい出てしまう言葉があります。お母さんの責めの言葉は、子供の心に何年も残ることがあります。
家庭内で否定的な言葉を頻繁に受けている子供ほど、自己肯定感が低い傾向が見られます(ベネッセ教育総合研究所や文部科学省の調査結果)。
自己肯定感とは「自分には価値がある」と思える感覚です。
児童期から思春期について、心理学者エリクソン(ドイツ生まれ・1902~1994)は自己肯定感が育つ大切な時期だと述べています。
子供を傷つける言葉―その理由と言い換え
子供に対し、親はどのように配慮すればよいのか気になるところです。
ベネッセ教育総合研究所や文部科学省の調査から、
「子供を傷つける言葉のランキング」を参考に考えていきます。

第1位「なんでできないの?」
一番多く、そして一番深く刺さりやすい言葉です。
この言葉は、
・能力否定
・人格否定
・自分の期待との比較
が同時に含まれています。
子供は「できない理由」を考える前に「できない自分はダメなんだ」と受け取ってしまいます。
例えば、次のような言い換えが考えられます。
× なんでできないの?
○ どこがむずかしかった?
○ どこからやってみる?
第2位「他の子はできるのに」
比較は自己肯定感を強く下げます。
文部科学省の調査でも、他者比較を強く意識する子供ほど自尊感情が低い傾向 が示されています。
子供は「自分は劣っている」と感じやすくなります。
第3位「だから言ったでしょ」
失敗したあとのこの言葉は反省を促すのではなく、「責められた記憶」として残ります。失敗したときに必要なのは分析ではなく、癒しや安心です。
第4位「そんなこともわからないの?」
理解力そのものを否定する言葉です。
質問するのをためらう子に育つ可能性があります。
第5位「ちゃんとしなさい」
抽象的でゴールが見えません。
子供は「何をどうすればいいのか」が分からず、自信を失いやすくなります。
第6位「もう知らない」
親子関係の切断を感じさせる言葉です。
特に思春期は「見放された」という不安をいだくことがあります。
第7位「あなたのために言ってるの」
正論でも、子供の気持ちが置き去りのなることがあります。
お母さんと子供の距離が広がってしまいます。
落ち着いて子供の気持ちを汲むことが大切です。
第8位「どうせ無理でしょ」
可能性を先回りして否定する言葉です。
子供は挑戦する前に、心が止まってしまいます。
「やりたいなら、やってみましょう」と応援しましょう。
第9位「いい加減にして」
感情的な言葉で、関係が行き詰まってしまいます。
具体性がないため、ただ拒絶された印象が残ります。
第10位「あなたって本当に○○ね」
「だらしないね」「根性ないね」など、
性格を決めつける言葉は「レッテル」となり、子供は自信を失っていきます。
コラム.「勉強しなさい」「早くしなさい」はなぜ嫌がられるのか
どちらの言葉も悪気はなく、心配しているからこそ出る言葉です。しかし、子供にとっては、「また言われた」「言われなくてもわかってる」「自分は信用されていない」と感じることがあります。
「勉強しなさい」が子供に響きにくいのは?
この言葉には主語がありません。
・なぜ今なのか
・どこまでやればいいのか
・どうやればいいのか
が曖昧なまま、「やれ」という指示だけが子供の心に届きます。心理学では、人は「自分で決めたこと」のほうが行動に移しやすいとされています。
特に思春期は自立心が強まる時期であり、命令形は、やる気より反発を生みやすいものです。
言い換えるなら
× 勉強しなさい
○ 今日はどこまでやる予定?
○ 何時から始める?
子供に決めさせる問いかけに変えるだけで受け止め方は変わります。
「早くしなさい」が嫌な理由
「早くしなさい」と言われると、子供は「ただただ急がされている」「自分は遅い人間だ」と受け取ることがあります。特に小学生は、時間の感覚が未熟です。中学生は、せかされるとコントロールされていると感じがちです。具体的な言葉に言い換えましょう。
× 早くしなさい
○あと5分だよ
○何分でできそう?
具体的に伝えると、命令がサポートに変わります。
まとめ
子供を傷つける親の言葉は悪意からではなく「焦り」から生まれます。
そして、子供を支える言葉は少しの工夫から生まれます。
1つ言い換えることから始めるとやりやすいです。
著者プロフィール
はら まきこ(フリーライター)
雑誌、書籍、PR誌、Webコンテンツ、動画シナリオなど、幅広い媒体で企画から執筆まで手がけてきました。調査や情報整理を大切にしながら、学びや暮らしを支えたい方に向けて、毎日に役立つ情報を親しみやすくお届けします。
出典・参考資料
・文部科学省「児童生徒の自尊感情に関する調査」
・ベネッセ教育総合研究所「子どもの生活と自己肯定感に関する調査」
・エリク・H・エリクソン(1902~1994)発達理論
・アルバート・バンデューラ(1925~2021)自己効力感理論